① 「ルガーコード1951」の連載に際して、ファンからの反応などがありましたらお教えください。
週刊「少年ジャンプ」編集部 山中 陽さん
「ジャンプ+」と「アニマックス」の共同主催で行われたアニメシナリオ大賞の受賞作を、少年ジャンプでも連載されていた、暁月あきら先生がコミカライズするということで、今回の「ルガーコード1951」は編集部内外でもかなり注目を集めた作品でした。
ジャンプ+では珍しい月イチ連載でしたので、スピードを求められる電子雑誌では苦戦した部分もあるかと思われましたが、公開してみれば50万人もの読者を集め、通常の連載とは異なる、単発的な作品としては非常に人気を集めた作品になったかと思います。
② 大賞作品のシナリオを、コミカライズされるにあたってのご苦労、力を入れた点を教えてください。
個人的には今回、僕が担当する作品としては初めて原作・作画が分かれた作品でしたので、そういう意味では初体験のことが多く、戸惑う部分もありました。
当然ですが、お二人に納得される形でのコミカライズを目指すのが編集の仕事ですので、それぞれのご意見を伺い、摺り合わせていくのはやはり気を遣ったりする部分も多かったです。
ただ、今回に関しては、原作担当の羽木さんは、当初より「僕は漫画に関しては素人なので」というスタンスで協力してくださり、漫画的演出など、多くの部分で暁月先生の執筆に寄り添う姿勢で臨んでいただけたことは正直助かりました。
また、作画担当の暁月先生には非常に深く原作シナリオを読んで頂き、羽木さんも驚くほどの漫画なアイディアを盛り込んで頂けたので、編集としていい刺激をたくさん受けることができた仕事でした。
今回はすでに完成済みのシナリオを漫画に描き改める、という作業でしたので、暁月先生にとってはイレギュラーな部分も多い案件でした。
キャラクターデザインや舞台の説明、細かい小道具などは暁月先生が原作から膨らませていかなければならない部分ですので、そういう部分では水面下で様々なご苦労があったかと思います。
また、今回はドラマ部分が非常に魅力的なシナリオでしたので、漫画としての盛り上がりを表現する上で、3話完結のシリーズ読切という形になました。
その中で、漫画のめくりやキャラの無言の演技など、演出部分にはかなり注力をして頂きました。
③ アニメ化に際して、「ルガーコード1951」の原作のどういう点をファンや「ジャンプ+」のユーザーの皆さんに見ていただきたいですか?(見どころ)
「ルガーコード1951」という作品は、「戦争」という濃い世界観のなかで、更に「情報戦」という深いテーマに焦点をあてた作品です。
ただそこは少年ジャンプ発信ですので、そんな深い作品でありつつも、「天才だけど未熟な少年」と「異種族の少女」という部分でしっかりと少年漫画的に盛り上げています。
なので、やはり見所は主人公・テスタの成長にあるかと思います。
彼は天才的な頭脳を持ってはいますが、人間的には未熟な男の子です。
そんな彼がこの作品の中で、何と出会い、何と向き合い、そして何を乗り越えるのか。
そんな成長のドラマがタイトルにもなった謎に包まれた暗号「ルガーコード」を解く鍵になります。
また、彼がこの作品のなかで乗り越える「何か」はとても大きいものですが、見る人それぞれに、いろんな意味を考えさせるものだと思います。
ある人は過去を感じ、ある人は決意を見つめ、ある人は友情に感動する、そんな重層的なドラマをぜひたくさんの人に見て頂きたいと思います。